別居状態が長ければ愛人を作った側から離婚請求できるのか?
行政書士 兼 離婚情報コーディネーターの中森です。
離婚は、お互いの合意さえあれば自由にできます。
しかし、どちらか一方が離婚に反対している場合には、
民法770条に規定された5つの離婚原因のどれかがないと
離婚できません。
また、離婚原因を作った側(有責配偶者)からの離婚申立ても
認められないというのが一般的です。
◆破綻主義
しかし、すでに夫婦関係が破たんして修復不可能な状態
なのに離婚を認めないのは不自然で、むしろ離婚を認めるほうが
自然だという考え方(破綻主義)もあり、そういった判例もあります。
しかし、すべての有責配偶者の離婚申立てを認めたわけではなく、
少なくとも次のような条件が必要とされています。
①夫婦の別居が年齢および同居期間と比べ、相当長期間及んでいること。
②夫婦の間に、未成熟の子どもがいないこと。
③離婚により、相手が生活に困ることがないよう経済的な面倒をみてやること
なので、
別居期間が短く
(別居の原因や別居中の行き来の程度など他の要素との
関連にもよりますが、概ね5年程度別居が続いていれば、
もはや元に戻れないと判断される可能性があります)、
未成熟の子がいる場合は、有責配偶者からの離婚請求は
困難と言えます。
◆別れたければ、相手が生活に困らない程度のお金が必要
家庭裁判所での調停や審判で離婚した夫婦のうち、
別れるときに慰謝料や財産分与が払われたのは
4組に1組にすぎません(平成22年)。
しかも、その金額は意外に少なく、400万円以下
が半数以上です。
離婚する際の慰謝料や財産分与の考え方としては、
①慰謝料は、離婚原因を作ったほうが払う
夫婦双方に原因がある場合は、より重大な原因がある方
が払います。結婚年数にもよりますが、慰謝料額は
通常100万円前後と安く、多くても500万円止まりです。
②財産分与の対象になる財産は、結婚後に夫婦で築いてきた財産
結婚前から元々持っていた財産、結婚後に相続などで
取得した財産は、対象になりません。
③財産分与の割合は、その財産を築くのにどのくらい貢献したかで判断
一般的に、共働きの場合は2分の1、
専業主婦の場合は3割~4割です。
また、サラリーマン世帯では、ローンの残ったマンション・戸建
しか財産がないというケースも珍しくありません。
例えば、財産分与の対象は2500万円の土地建物だが、
ローンが1500万円残っていたとすると実際に財産分与の対象に
なる金額は差引1000万円となります。
また、オーバーローンとなり、マイナスの資産をどうするか?
で話し合うケースも多くあります。
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