面会交流を認めない母から親権者の変更はできるのか?

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父親1

 

行政書士 兼 離婚情報コーディネーターの中森です。

 

月1回の子どもの面会交流を条件として

親権を妻に渡しました。

しかし、妻はその約束を破り、

全く子どもに会わせてくれません。

裁判所に調停を申立て勧告をしてもらいましたが、

解決されません。

約束が違うので、親権者の変更を申立てられませんか?

 

 

離婚時に母を子の親権者としたが、その後母が子を置いて

家を出てしまったり、子が自分の意思で母の家を出て、

父と暮らすといった事例もあります。

 

また、小学校低学年の子が弟と共に、母の家を出て

父の元に来たケースや、中学生になった子が父と生活

することを決断したケースもあります。

このような場合には、子の監護権が離婚時から変わっており、

その監護実態に合わせて、子の親権者変更とする必要が生じます。

 

しかし、このような場合とは異なり、子の監護親である母が、

調停や審判で決められた面会交流を実行しない場合に、

それを主な理由として子の親権者を父に変更すること

これまで考えられませんでした。

 

しかし、非監護親との面会交流が原則化されてきた実務において、

調停や審判で決められた面会交流を実施しないことは、親権者

としての適格性を欠く事情であるとする考え方が徐々に強く

なってきています。

 

そのため、正当な理由なく母が面会交流を拒絶している場合には、

履行勧告・間接強制・再調停の方法に加え、親権者変更の申立て

も検討してみることになるでしょう。

 

 

◆面会交流の拒否により父への親権者変更を認めた判例

 

平成26年 福岡家裁は、親権者である母が調停条項に基づく

面会交流を履行しない場合に、母に監護権を留保しつつ、

父への親権者変更を認めた初めての判例を出しました。

 

(1)事案

妻が長男を連れて別居し、その後離婚調停が成立した。

離婚調停において、妻を長男(調停成立時4歳)の親権者とし、

面会交流については、宿泊付きの面会交流を月1回行うこと

の他、詳細な規定が決められ、面会交流を実現しなかった

月の養育費の支払義務を免除する条項まで入れられた。

しかし、面会交流は全く実現せず、父は母に対し、

親権者変更及びこの引き渡しを求めた。

 

(2)判旨

裁判所は、子が父を強く拒絶するに至った主な原因は

母の言動にあると認定したうえで、監護権を母に留保

しつつ、以下のように述べて、子の親権者を父に変更し、

子の引き渡しは却下した。

 

「相手方(母)が親権者と指定された前提が崩れていること、

親権者変更以外に現状を改善する手段が見当たらないこと、

親権と監護権とを分属させる積極的な意義が認められること

を考慮すると、

監護者を相手方に指定することを前提として、子の福祉の観点から、

親権者を相手方から申立人(父)に変更する必要が認められる。

 

以上のように、父への親権者変更は認めましたが、

監護権が母に留保されていることから、母がそれでも

面会交流を拒絶する場合には、父が親権者として子に

対してどのような対応ができるのかは今後の課題として

残っています。

 

 

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