子どもが病気や障害を抱えたとき、どう向き合う? その2
行政書士 兼 離婚情報コーディネーターの中森です。
※その1からの続き
Bさんは、次男の状態や夫の言動に過剰に振り回され、それが次男の
障害や療育について考えることの妨げとなっていました。
次男の障害についてさえも、Bさんの肯定感につながるための材料
となってしまい、次男への療育は、次男にとって必要なことかどうか
ではなく、Bさんが次男とのかかわりを通して否定されないための
道具へと変わっていき、次男の課題を解決する方向には考えられ
なくなってしまっていました。
◆Bさんへのケア
そこで支援センターではBさんへのケアとして、Bさんが夫や次男の
状態やそれらとの関係に振り回されないように、かつ、Bさんの安定感
が増すように、Bさん自身で完結する方法でBさんの肯定感を増す
方法を考えました。
Bさんが人との関係に頼らずできること、最初は家事を材料にしました。
Bさんは家事が得意ではなかったのですが、家事を簡単にうまくこなす
方法を考えてそれを行い、上手くいったかどうかを確認し話す時間を
もちました。
その後、Bさんが何か仕事でもしようかなと言い始めたので、
内職を勧めました。家庭内で、一人で行える内職は、達成できそうな
身の丈にあったゴールを決められ、他の人と比べられる場面も少ない
ので、Bさんがゴールを達成しやすいのではと考えました。
次男の話の合間に、Bさんの内職や家事について話を交え、自分に合った
活動であれば成功できる、Bさんのこれまでの歴史の中で成功したこと
が少なかったのは、Bさんの能力の問題ではなく、Bさんに合った
活動と出会っていなかっただけだと考えることができるように
なりました。
「私にもできることとできないことがあるから、次男にも、
そういうことを考えてあげれば上手に生きていけるんですよね」と、
言うことがでてきました。
また、夫との関係においては、こちらから目に見えてわかるほど崩れる
ことがなくなりました。それは、安定したBさんに対して夫が暴言を
吐かなくなったのか、暴言を吐かれても、Bさん自身が振り回されなく
なったのか定かではありませんが、いずれにしても、相乗的に安定
した関係の方向へ働いていると考えました。
◆自身の肯定感と家族の問題を切り離す
Bさんは、Bさんと次男やBさんと家族との関係に問題が生じたときに、
それを自分自身に問題があるととらえてしまい、本来の問題を
判断することができなくなっていました。
Bさんのかかわりのポイントは、Bさん自身の問題と、Bさんと
家族の関係の問題を切り離して考えることでした。
Bさん自身が肯定感をもてるような活動を行うことで安定し、
家族との関係上の問題に自分自身が重ならないようにすることで、
次男の障害そのものに目を向けることができるようになり、
それがBさんが次男の障害を受け入れることと考えるように
なっていったのでした。
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